福島県の北部にある全国有数の果樹産地で、農家が桃を皇室に「献上」したところ、宮内庁から「お礼の木札」が届いた――。
そんな情報を発端に記者が取材を進めると、「宮内庁関係者」だと名乗る男性に行き当たった。

宮内庁はこの男性に心当たりはなく、木札の発行も否定。一方、男性はあくまで「皇室に納めた」と主張する。「献上桃」は一体、どこへ行ったのか。

「お墨付き」の木札のはずが

「皇室献上桃生産地」

7月上旬、福島県北部にある「道の駅」に、そう書かれた木札の写真が飾られていた。この木札が地元の桃農家のもとに届いたのは2021年7月。農家はこの年、皇室への献上品として7種類の桃計70キロを知人の男性に託していた。木札は、皇室からの「お礼」だという。地域みんなで喜んだ。

この農家によると、同年末にも男性から同様のお礼として「(上皇后)美智子さまが作った大福餅」が届いた。

地区の農家約40人が宿泊施設に集まって食べた。中には「もったいない」と持ち帰り、神棚に上げた人もいたという。

この木札について、記者が宮内庁に問い合わせると、「当庁からお礼で木札をお送りすることはありません。木札の存在など聞いたことがありません」と返ってきた。

同庁によると、献上は皇室の慶事などの際に都道府県の首長からの「献上願」や「採納願」などを通じて行われる。

福島県によると、1994年から昨年まで29年連続で、桑折(こおり)町の桃を皇室に献上してきた。
木札を受け取った農家がいる地域ではない。今年も同町の桃を献上することを決めている。県の担当者は94年以降、同町以外の桃が献上されたことは「ない」と言った。

https://www.asahi.com/articles/ASR7G74X3R7GUGTB007.html